月刊誌「新規事業を始める前に」

gekkanshi-photo.jpgグループのクライアント向けに発行している月刊誌「マンスリーガルベラ」。

 

本ページは、そこで執筆している新規事業についての情報やポイントをまとめた「新規事業を始める前に」を掲載しているページです。

【目次】

・飲食業界編

・フランチャイズ加盟編

・リサイクル業界編

・障がい者雇用編

・求職者支援編

・ライセンス編

・ライセンス展開編

・介護ビジネス編

・環境ビジネス編

環境ビジネス(2012年3月75号)

◆ 環境ビジネスの市場
まず日本における環境ビジネスの市場規模および雇用規模ですが、2005年に59兆円・180万人であったのに対し、2015年には83兆円・260万人になると予想されています。
このデータを見る限り、日本国内でも有数の魅力的な市場であるにも係わらず、多くの企業は参入に対して消極的です。それは、環境ビジネスと言うと「太陽光発電」「CO2削減」「地球温暖化防止」など大きなビジネスをお考えになるからでしょう。
そこで私どもが推奨する環境ビジネスは、環境だけでなく、企業のコストも削減できる「環境ビジネス兼コスト削減ビジネス」です。環境とコスト削減は一見関係がないように思えますが、身の回りにある電気や水などのエネルギーコストを削減することも、環境ビジネスの一つです。外部環境が激変し、コスト削減の必要に迫られた企業にとっては、環境ビジネスへの参入が自社の存続にも大いに役立ち、その上地球環境にも貢献が可能となるのです。
今回は数ある環境ビジネス兼コスト削減ビジネスの中でも、「水」ビジネスについてご紹介したいと思います。

 

◆ 水ビジネス
世界的に拡大している水ビジネスですが、その市場規模は2005年に60兆円であったのに対し、2025年には100兆円に達すると予測されています。
日本においてもその市場は拡大しており、昨年は震災の影響もあり、飲料つまりミネラルウォーターの市場が伸びました。もちろん飲料としてだけでなく、工業・農業・医療・食品など様々な分野でのニーズも高まっており、そこには環境への配慮も求められています。
様々な分野から注目される水ビジネスですが、その中でも最近注目されているのが「電解水」です。「インフルエンザを殺菌する効果がある」との発表もされた「電解水」ですが、作り方はとてもシンプルです。水に食塩などの塩化ナトリウムを加え、電気分解させることによりアルカリ電解水と酸性水に分けられます。これを電解水と言います。最近では家庭でも作れる生成器も販売されていますし、家庭内での除菌・脱臭・洗浄に役立つと大手企業がスプレータイプの高アルカリ電解水(pH12.5)の販売もしています。この家庭用の高アルカリ電解水は、「化学合成物質を含まないので、人にも環境にも優しく、安心・安全」をうたい文句に少しずつ市場に浸透しています。
また、より高いpHになると油汚れにも強いので、油を使用する飲食店やコンビニエンスストアなどの法人にも、「清掃時間の短縮」や「環境への配慮」などの面から、今後浸透していく可能性があります。開発力よりも営業力に自信のある企業であれば、代理店やOEMでの展開を検討することも、一つの参入方法でしょう。

 

⇒上へ

介護ビジネス(2012年1,2月73,74号)

◆ 介護業界と介護ビジネス
介護保険制度が施行された2000年4月から既に10年以上経過しました。2000年の介護費用額は3兆6千億円強でしたが、2009年には7兆4千億円強(共に厚生労働省「介護保険事業状況報告」参照)と10年でその市場規模は倍増しました。
このような急激な業界の成長の背景には、日本の高齢者人口の増加があります。この高齢者人口の増加傾向は今後も続き、65歳以上の高齢者人口比率は2010年に23.1%だったのが、2020年には30%弱、2050年には40%を超えると予想されています。
その一方で、国の方針である「国から地方へ」「官から民へ」の流れが進む中、都市部を中心に子供が親の面倒を見る習慣が消滅し、老人が老人を介護する「老老介護」や「一人暮らし高齢者」が増えているため、福祉法人、医療法人、民間企業による様々な介護サービスの提供は、今後も更に増えていくと予想されています。
このような急激な業界の成長を好機と考え、様々な企業が異業種から参入し、介護ビジネスを始めています。古いところでは、ワタミやセコムなどが有名ですが、最近ではインターネットカフェ「コミックバスター」などで有名なアクロスが「樹楽」という介護サービスを展開し始めたり、明治安田生命も昨年、介護施設の運営による業界参入を発表しました。今後も参入企業は増えることでしょう。

 

◆ 介護ビジネス参入への注意点
介護サービスの内容や参入条件については、別途研究していただければと思いますが、介護サービスの多くは、その売上が「介護報酬」と「利用者負担」から成り立っています。「介護報酬」とは、厚生労働大臣が定める基準に基づいて算出され、介護サービスの内容と利用者の要介護度により点数が決まり、報酬額となります。「利用者負担」は基本1割であることから考えても、この介護報酬に頼らざるを得ない現状の介護ビジネスです。
その介護報酬は3年に一度、介護保険は5年に一度見直されることから、中長期的な事業計画が見直しにより狂ってしまう可能性があるのが介護ビジネスの難しいところで、介護報酬と介護保険の改定のタイミングは十分理解していないといけません。
直近では、介護報酬が2012年と2015年、介護保険が2015年に改定されますが、増え続ける要介護者数と国の厳しい財政事情を考えれば、介護保険の被保険者年齢の引き下げ(現状の40歳から20歳など)や利用者負担の増加(1割から2割へなど)の可能性が考えられます。このような大きな変化は事業計画の見直しやビジネスそのものの修正を余儀なくされる可能性があるのです。
つまり、介護ビジネスは「統制経済下での自由競争」を要求されているのです。統制経済下である以上、そのルールに従わざるを得ない点が最も注意しなければいけない点です。
統制された中でいかに利用者の選択を勝ち取れるか、更にはこの未成熟な市場に眠るブルーオーシャンをいち早く探し出せるかが重要なのではないでしょうか。

 

◆ 介護ビジネスへの参入方法 その1
仕組みなどが分かり難い介護ビジネスへ参入する際の成功率を上げる方法の1つが、フランチャイズ(以後、FC)への加盟です。
既にブランドも、ノウハウも構築されているFCへの加盟は、新規参入にあたり最も手っ取り早い方法です。
前回もお伝えしたとおり、介護ビジネスで注意しなければいけないのが、「介護報酬や介護保険の改定」です。このタイミングによって、大きく事業計画が狂ってしまいますので、スピードやタイミングは介護ビジネスにおいてとても重要です。
またFC業界では、訪問介護や通所介護といった介護保険料の適用となるサービスから、高齢者向け配食サービスやハウスクリーニングなど、介護保険適用外のサービスまで多様な業態のチェーンがあるので、自社にとって最も適した業態を選ぶことが可能です。

 

◆ 介護ビジネスへの参入方法 その2
介護ビジネスは介護保険料が適用となるものだけではありません。上記でも記載しましたが、配食サービスやハウスクリーニングなど、介護保険適用外のサービスも含まれます。ということは、新規参入をしなくても、既存の事業の対象者を高齢者に対応することで、介護ビジネスに参入することができるかもしれません。
例えば、自社が理美容業界であるならば、訪問カットを導入することで介護ビジネスに参入するという方法もあります。要介護状態にある方は、外出を望まない、もしくは外出したくても困難な場合が多いのが現状です。しかし「髪を切る」という行為は必要になります。そこで訪問カットを取り入れ、高齢者特に要介護者を顧客とすれば良いのです。
対象を変え、介護保険適用外のビジネスを行うことは、介護業界に新規参入するよりもハードルが低く、成功確率も高いのではないでしょうか。

 

◆ 介護ビジネスへの参入方法 その3
最後の参入方法ですが、本誌の64号や68号でご紹介した「基金訓練」を利用した介護ビジネスへの参入という方法があります。
基金訓練とは、雇用保険を受給できない離職者(受給を終了した方を含む)に対して、行われる職業訓練のことです。介護業界が右肩上がりで新規参入が増えると、人手が必要になります。特にホームヘルパーなどの有資格者を必要とする企業は増え続けるでしょうから、それに先駆けホームヘルパーを取得するプログラムを基金訓練で組み、訓練を実施し、就職をさせることを新たなビジネスとして行っていくのです。
ただし、こちらも介護保険料適用の介護ビジネス同様、方針の変更により変更を余儀なくされる可能性があります。雇用情勢が回復するまでは、基金訓練制度は継続される予定ですが、それもいつまで継続されるのか未定です。

 

⇒上へ

ライセンス展開(2011年12月72号)

◆ ライセンス展開
セブンイレブン、TSUTAYA、牛角など「フランチャイズ展開」として有名な企業や店舗は、身の回りにも数多く存在しますが、「ライセンス展開」をしている企業や店舗はあまり聞いたことがないのではないでしょうか。
「ライセンス展開」は飲食業などで多く利用されているのですが、「ライセンス展開」を行っている中で、最も有名だと思われるのは「スターバックス」です。
スターバックスのライセンス展開は、直営店では出店が困難な場所で行われています。例えば、空港やサービスエリア、病院などがその場所にあたります。どのくらいの割合でライセンス店舗が存在しているかというと、23年3月31日現在のデータですが、スターバックス912店舗中34店舗、つまり全体の3.7%がライセンス店舗に当たります。
今回スターバックスは、立地というメリットを手に入れるため(実際には、アメリカとの契約上、ある程度の出店数を確保しなければいけないという背景もありますが)にライセンス展開を選択しましたが、本部ではなく、加盟する側である私たちが、ライセンス展開を選択するメリットとは一体何なのでしょうか。

 

◆ ライセンス展開のメリット・デメリット
ライセンス展開とフランチャイズ展開の違いは数多く存在しますが、その中で最も大きな違いは「しばり・制限」だと思います。
2つの展開では、「ブランド価値」「商品構成」「価格統制」が異なることが多いようです(スターバックスのライセンス展開は、当てはまらない部分も多いようですが)。
つまり自由裁量の度合いが大きいのがライセンス展開で、制限が多いのがフランチャイズ展開とも言い換えられますが、これはメリットにもデメリットにもなります。
自由度が高いのであれば、その地域の特色でもあり、売れるであろう商品・サービスを導入することが出来るかもしれませんが、制限が多いとそれも難しくなります。つまり売れると分かっているのに手が出せないということもあり得ます。
しかし、加盟者の自由裁量で商品・サービスを導入するということはリスクも伴います。フランチャイズのように十分にマーケティングを行った上で開発された商品・サービスであったり、直営店などでの実績がある商品・サービスであれば全国的に受け入れられる可能性も高いですが、独自の判断だと売れない商品の在庫を抱えたり、お客様の離反を招くようなサービスにより、経営が傾く可能性も出てきます。
つまり新規事業で行うには、ブランドや商品・サービスを提供されるだけでなく、「ノウハウ」、とりわけ「経営ノウハウ」を提供されることが重要ではないでしょうか。そういった意味では、新規事業としてはフランチャイズ展開を選択することが成功への近道になるかもしれません。

 

⇒上へ

ライセンス編(2011年10、11月 70、71号)

◆ ライセンスビジネスとは何か
洋菓子メーカーの不二家は、1910年の創業から、昨年で100周年を迎えました。その不二家が今年の4月より新規事業としてはじめたのが、自社キャラクターのライセンス展開です。誕生から60周年を迎え、幅広い世代から支持され続けているオリジナルキャラクター「ペコちゃん」をはじめとした複数のキャラクターや商品ブランド、パッケージでライセンス展開をしはじめたとして、大きな注目を集めています。
ペコちゃんなどのライセンス権を使用し、他社が収入を得ることを「ライセンスビジネス」と呼びます。その市場規模は、日本国内だけで3兆円とも言われ、ロイヤリティ収入は1,200億円程度になると試算されています。ライセンスビジネスをもう少し詳しく説明しますと、ライセンスビジネスとは一般的に、著作権・商標権・意匠権の3つの非技術系知的財産権を使用し、商品化することを言います。ライセンスビジネスでは、商品化の元になる特定の非技術系知的財産権をプロパティ(財産)と言い、ミッキーマウスやコカコーラ、ポケモン、カルバン・クラインなど、私達の周りに多くのプロパティを利用したライセンスビジネスが存在します。
ライセンスビジネスの運営は、プロパティを所有する者(以後、ライセンサー)が、それを使用して商品を作りたいという者(以後、ライセンシライセンシー)に、プロパティを一定の条件と期間、貸与して使用を許可し、商品を生産販売したライセンシーは、その対価として売上に比例したロイヤルティをライセンサーに支払います。

 

◆ ライセンスビジネスの魅力
ライセンスビジネスを始めるにあたり、ライセンサーとしての魅力は何でしょうか。ライセンスビジネスには、次のような魅力があります。

1)参入障壁が低い
ライセンサーになるために、国家資格を有するなどの条件(一部、民間組織による資格はあるが、必須ではありません)はありません。つまり誰でもライセンサーとしての参入が可能です。

2)ローリスクでしっかりリターンを得られる
ライセンスビジネスでは、設備投資などの初期投資が非常に低く、商品在庫が不要で、更にはライセンシーが販売をし、その結果ライセンサーはロイヤルティ収入を得られます。

3)メインのビジネスを助ける
映画などでよく見られますが、映画の興行成績は今ひとつだった場合でも、DVDが良く売れてセールスアップすることがあります。そのDVDがライセンス商品である場合、ロイヤルティ収入は、トータルとして映画の収益になります。ハリウッドなどでは、最初からライセンス商品を出すことを考え、映画を製作することもあるようです。

4)既に取得している商標権を守る
「知的財産権」という言葉が騒がれだした2000年頃、企業は人気商品の商標を、その商品の所属する商品群以外でも登録することに積極的でした。しかし、商標権は3年間実際に権利者が使用していない場合、他社がその事実を特許庁に申し出ると、商標権者の権利が消失してしまいます。
これを防ぐ意味で、その企業が使用していない商品群での商標を他社にライセンスすることで、実際の使用が発生し、商標登録の抹消を防ぐことができるのです。

5)社内外へのイメージ向上
 一定以上の規模の会社は、法務部の中に独立部署として知的財産を扱う部課を設けています。しかし、商標権などの登録・更新だけでは収益を生み出さない部課として、社内外からは見られるでしょう。
 これがライセンス業務を開始すると、知的財産を守るというより、有効活用してロイヤルティ収入を生み出す部課に変わります。
更に、ライセンス業務は広範囲に渡る知識が必要とされる部課なので、社内外の人間とのコミュニケーションで、その広範囲に渡る知識は好印象を与えるでしょう。

 

◆ これからのライセンスビジネス
これからのライセンスビジネスはどのように変化していくのでしょうか。
キーワードは「モノからコト」と「駆逐」です。
まず「モノからコト」ですが、これは既に私たちが経験してきたことです。時代は、モノ(物質)の時代から、経験や思い出といったコトの時代へ変わっていきました。ライセンスビジネスにおいても同様の時代になることが予想されます。
その一例ですが、スタジオジブリの商品を発売する「どんぐり共和国」は、ライセンス商品を販売しています。これが「モノからコト」へ変わると、「三鷹の森 ジブリ美術館」のようになります。館内はジブリ作品をイメージした世界がっています。そして館内にあるライセンス商品ショップはまるで「魔女の宅急便」に出てくるお店に迷い込んだように錯覚させる作りとなっています。つまりここで買い物をするお客様は、単にライセンス商品を買っているのではなく、ジブリの世界観を購入しているのです。
次に「駆逐」ですが、ライセンスビジネスにおいて駆逐する必要があるのは、権利侵害品です。 
権利侵害品の販売で最も有名な国の一つに中国があります。北京オリンピックで販売された権利侵害品は約570億円と言われています。
今や中国市場なくしてビジネスが成り立たない製造業は多いと思いますが、ライセンスビジネスも近い将来そうなるかもしれません。それまでに権利侵害品を駆逐し、粗悪品が売られることによるブランドイメージの下落を食い止めなければなりません。

 

⇒上へ

求職者支援編(2011年8月68号)

◆ 基金訓練
基金訓練とは、雇用保険を受給できない離職者(受給を終了した方を含む)に対して、行われる職業訓練のことです。
基金訓練制度が施行される背景には、昨今の景気悪化に伴う失業者の増加に歯止めがかからず、いまだ再就職への環境も明るくない状況があり、雇用情勢の回復が見られるまで、継続的に続けられる制度と推測されます。と言うのも、当初は23年9月まで実施予定だった基金訓練ですが、23年10月以降も引き続き制度(求職者支援制度)が実施されることが決まっています。多少の変化があるにせよ、雇用情勢が回復するまでは、基金訓練制度は継続されるでしょう。
訓練分野は、「IT、営業・販売・事務、医療事務、介護福祉、農業、林業、旅行・観光、警護・保安、クリエート(企画・創作)、デザイン、輸送サービス、エコ、調理、電気関連、機械関連、金属関連、建設関連、理容・美容、社会的事業等」などです。
訓練の実施企業側には、新規訓練設定奨励金として200万円(定員20人以上、訓練期間6ヵ月以上の場合)、訓練奨励金として受講者1名につき6万円/月(最大30名、3〜6ヶ月まで)が支給されます。一般的な教育事業よりも単価が高く、国からの奨励金なので未入金という不安はありません。ただし、研修施設や実習施設の手配が必要であることや、就職率(訓練後、受講者を就職させることが目的)が低いと訓練の資格を剥奪されるなどの注意事項があります。条件に関しては、厚生労働省のホームページをご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/kyushokusha_shien/index.html

 

◆ 求職者支援ビジネス
制度を利用することは、専門家に依頼すれば可能ですが、これをビジネスとして継続させていくには、「受講者を集めること」と「就職率を上げること」が重要になってきます。
この両方を満たすには、社会的ニーズの高い訓練分野を選ぶことが重要です。
例えば、介護分野です。介護業界は今後も市場が成長すると予想される業界であり、企業側の採用ニーズはあります。更にホームヘルパー2級など6ヵ月程度の訓練で取得をサポートできる資格があるので、研修プログラムも組み易い分野です。
他にも、成長が予想される環境分野で「環境プランナー」の取得をサポートする訓練や、IT分野でアプリなどの開発ができる訓練を行うなど成長が予想される分野と訓練を結びつければ、継続の可能性は高まります。
また、人材紹介会社と連携したり、資格や能力を欲している企業を事前に複数開拓しておけば、就職率が高まり、安定して継続性のある求職者支援ビジネスが可能になるでしょう。
その他にも訓練分野と採用ニーズの高い分野を組み合わせることで、新しい求職者支援ビジネスが生まれますので、アイデアをお持ちの方は私どもへご相談ください。

 

⇒上へ

障がい者雇用編(2010年11月59号)

◆ 法定雇用率と特例子会社
現在「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」によって定められた障がい者雇用率は1.8%(常用労働者数56人以上の一般の民間企業の場合)です。更に、常用労働者数201人以上の企業が法定雇用率未達成の場合、「納付金制度」といって、不足人数1人に対し、月額5万円(一部減額特例あり)の障害者雇用納付金の納付を義務付けられています。
この法定雇用率は、納付金制度やユニクロなどの大手企業の積極的な障がい者雇用により、1.68%(22年6月時点)まで雇用率が高まっています。
しかし、47%の企業は未達成であり、その殆どは健常者と障がい者が同じ環境下で仕事をすることに対して不安を抱いています。
そこで多くの企業が特例子会社を設立し、障がい者と健常者を別々の環境で仕事をしています。
特例子会社とは「障がい者の雇用のために、特別の配慮をしている(その他用件あり)と公共職業安定所長から認定を受けた子会社」のことであり、そこで働く障がい者は親会社の雇用率に計算することが出来ます。
障がい者を雇用する際、必ずしも特例子会社を設立する必要はありませんが、設立すると次のようなメリットが生じます。

 @職場環境や仕事上での配慮など、障がい者の能力を十分に引き出すことが出来る
 A定着率が高まり、生産性が向上する。
 B障がい者の受け入れに当たっての投資を集中することが出来る
 C各種助成制度が受けられる。

などです。では、障がい者雇用と新規事業をどのように結びつければよいのでしょうか。

 

◆ アウトソーシング事業の内製化
 障がい者雇用と連動した新規事業の1つに、アウトソーシングしている事業を内製化するという方法があります。例えば、自社の名刺やパンフレットなどを作成する印刷事業や、お客様からのアンケート結果などを収集するデータ入力作業などです。
 データ入力なら、初期投資額はさほど大きくなりませんが、印刷事業で気になるのは初期投資額が大きいことです。しかし、補助金や助成金を利用すれば、小額で設備を導入できます。また、設備の導入により、障がい者の生産能力もカバーすることが可能となります。
 障がい者雇用による新規事業は、コスト削減や納付金対策ではなく、やり方によっては売上の更なる拡大が可能な事業となります。

 

⇒上へ

リサイクル業界編(2010年10月58号)

◆ リサイクル業界の現状
環境問題を解決するのは3Rだと言われています。3Rとは「リサイクル・リユース・リデュース」のことです。「リサイクル」は「ごみの再生利用」、「リユース」は「再使用」、「リデュース」は「ごみの発生抑制」を意味しますが、ここでいうリサイクル業界とは、リユース市場を指し、電化製品や古着などの中古販売などの業界を意味しています。
現在、リサイクル業界の市場規模は5,000億円といわれ、今も年率で約10%の高成長を続けています。
リサイクル業界が成長し続けている背景には、次の5つが考えられます。

 

@ 消費の多様化による中古商品への抵抗感低下
A 潤沢な家庭内ストック(もの余りによる中古品の処分)
B 中古商品を扱う大型チェーン店舗の出現
C インターネットの普及による売り手・買い手のマッチング機会の増大
D 消費者や企業の環境問題への関心の高まり

 

今後も上記の5つを背景に、更なる拡大が期待されるリサイクル業界の中でも、まだまだ成長すると予測されているのが、リサイクルショップです。

 


◆ リサイクル業界で成功するには
 成長し続けるリサイクル市場で成功するには3つの力が必要です。それが「仕入力」「PR力」「コンセプト力」です。
 現在成長期にあたるリサイクル業界では、需要より供給の少ない状態にあります。需要より供給が少ない状態では、「仕入力」が強い所に圧倒的にお客様が集まります。
また、仕入力や集客力にも直結する「PR力」と「コンセプト力」が、今後市場の需要と供給のバランスがイコールになった時に大きな差を生みます。
消費者が比較するようになり、品揃えでは差別化しにくい時代になりますので、その時に「PR力」で商品価値を伝え、「コンセプト力」で店舗の存在意義を伝えていくことが重要になります。
リサイクルショップは成長し続けるリサイクル業界の中でも、3つの力を打ち出しやすく、今から参入しても成功する確率が高いビジネスと言えるでしょう。

 

⇒上へ

フランチャイズ加盟編(2010年8月56・57号)

◆ フランチャイズとは
そもそも「フランチャイズ」とは何でしょうか。
フランチャイズとは「特権(権利)」を意味します。
フランチャイズビジネスでは、特権を与える者をフランチャイザー(以後「ザー」)と呼び、フランチャイズ本部と呼ばれます。
逆に特権を与えられる者をフランチャイジー(以後「ジー」)と呼び、加盟店、加盟者と呼ばれます。
また、特権とはザーが生み出した独自の商品・サービスや仕組みなどを意味します。
ジーはザーと加盟契約を締結し、ザーの持つ特権を契約期間内に限り、利用することが出来ます。特権を利用するジーは、加盟に関する費用(加盟金など)を支払い、ブランド使用料やスーパーバイザーのサポート費用などの名目で毎月一定のロイヤリティーをザーに支払います。

 

◆ フランチャイズ加盟の注意点
 では、フランチャイズに加盟する際、どのような点について気をつければ良いのでしょうか。
 ポイントは2つあります。「法定開示書」と「加盟契約のタイミング」です。
 まず「法定開示書」についてですが、フランチャイズに加盟する際に締結する加盟契約書は、条文数が多く、非常に難解です。よく理解せずに加盟契約を締結すると、後々トラブルになりかねません。そこで、加盟希望者に理解してもらうため、加盟契約前に、加盟に関する重要事項を記載した書面である法定開示書を渡し、説明することとなっています。(中小小売商業振興法11条より)
 「法定開示書を整備している」ことはもちろん、「加盟契約前少なくとも1週間以上前に渡す」本部でなければ信用すべきではないでしょう。
 次に「加盟契約のタイミング」ですが、店舗用物件が決まる前に加盟契約を締結する本部は、気をつけるべきです。仮に店舗用物件がどうしても見つからず、出店を取り止めても加盟金は帰ってこないことが殆ど(過去には返還された事例もあります)です。加盟申込契約など、加盟契約金の一部を支払う予約加盟の仕組みを取り入れている本部は信用できる本部と言えるでしょう。
 その他にも注意する点はありますが、全てをここではお伝えできないので、参考となる書籍を2つご紹介します。
 1つ目は中小企業庁が発行している「フランチャイズ事業を始めるにあたって」です。
http://www.jfa-fc.or.jp/misc/static/pdf/tishiki.pdf
こちらでは「加盟者の心がまえ」「よくあるトラブル事例」など、加盟する際の注意点が12ページにわたって書かれています。無料で手に入るので一度は目を通すことをオススメします。
 フランチャイズ加盟に関して参考となる書籍の2つ目は「新FCトラブルガイドブック」です。
http://fcken.com/opendata/fc_trouble2010.pdf
こちらはフランチャイズ研究会が発行する、「売上予測」「契約締結」「加盟店への経営指導」など、FC本部と加盟店との間でトラブルが多発する場面にフォーカスし、その時FC本部は「何をしなければならないか」「何をしたらいけないか」についてQ&A方式でまとめられたガイドブックです。
「加盟したいのにFC本部向けの本を読むの?」
と思われるかも知れませんが、本書ではFC本部に対し、厳しいスタンスに立って書かれています。
つまり理想的なFC本部が書かれている訳ですから、これを熟読し、フランチャイズ加盟を検討する際にFC本部の姿勢を見極めれば、少なくともFC本部のサポート不足により失敗する可能性は低くなります。
価格は4,800円(税込)、市販はされていませんので、上記に記載したURLより直接お申し込みください。
この2冊が、FC本部を見極める際に必要な予備知識を得るのに最も適していると思いますので、ぜひフランチャイズに加盟を検討する前にお読みください。

 

◆ 第三者機関の利用について
 2冊の本を読み、実際に加盟しようと決断する時にまだ不安を感じるようでしたら、第三者に相談することで、客観的な意見を聞いてみるべきです。
 FC本部が実施する説明会の多くは、自社ブランドの良い面ばかりを説明するだけでなく、事実を誇張して説明します。それを信じ、加盟してみたらという状況をたくさん見てきたからこそ、加盟前に一度冷静になる時間が必要だと感じています。
 しかし、誰に相談して良いのか分からない時は「日本フランチャイズチェーン協会(JFA)相談センター(TEL:0570-075-222)」に連絡することをおすすめします。
 電話連絡をし、オペレーターに相談内容などを伝えることで、相談員から折り返し電話がかかってきます。WEBでも予約できますので、ぜひご活用ください。
http://www.jfa-fc.or.jp/particle/61.html

 

⇒上へ

飲食業界編(2010年7月55号)

◆ 参入する3つの理由

新規事業として、「飲食業界」に参入する企業は非常に多く、その理由は様々ですが、主に3つの理由が考えられます。

日本の飲食業界の市場規模は97年の29兆702億円をピークに、09年には23兆9156億円まで落ち込みました。しかし、ユニクロなどで有名なアパレル業界やコンビニ業界で約7兆円、I-phoneなど何かと話題な携帯電話業界でも約10兆円ですので、比較してみると飲食業界の市場規模の大きさには驚かされます。この市場規模の大きさが新規事業として参入する理由の1つであると考えられます。

そして2つ目は、新規事業として飲食業界が選ばれる理由が「参入障壁が低い」ということです。

 例えば上記で例にあげた「携帯電話業界」であれば、専用周波数帯の割当やインフラの整備、顧客の心理(スイッチングコストなど)的影響などが考えられ、参入は難しい業界の1つであるといます。

では、飲食業界はどうかというと、一般的な飲食店であれば、資格は殆ど必要なく、初期投資金額も小規模なものであれば、脱サラしたサラリーマンでも用意でき、特許により使用できないものも殆どない、など参入しやすい環境が整っています。

 最後の3つ目は、「失敗する確率が低いと思われている」ことだと思います。
 不況と言われる中、マクドナルドや餃子の王将では、過去最高益を更新しました。現在、飲食業界で1番のシェアを持つマクドナルドで約2%。上位20社の売り上げを集めても、市場全体の10%にも満たないと言われる程、裾野が広い市場ですから、「いずれは一国一城の主」と夢見る挑戦者が後を絶ちません。成功イメージが強い業界なだけに、その影には多くの飲食店が廃業に追い込まれているという事実を知らないのでしょう。
これら3つの理由から、多くの企業が独立する個人と共に、飲食業界に参入しているのです。

 

◆ 成功するためには
 では、この飲食業界に新規参入し、成功するにはどうすれば良いのか。
 「立地」「価格」「味」「人的サービス」「コンセプト」など様々な要因が成功には重要だと考えられています。そのどれもが正解であり、不正解でもあります。なぜなら、様々な要因が絡み合い、成功する店舗もあれば、失敗する店舗もあるのです。
 ここで重要な視点が前回ご紹介した「7つのポイント」です。
特に「@自社の外へ視野を拡げる」は重要であり、外部の力を利用することは「飲食業界」への参入に関しては、特に有効な手段の1つです。今の飲食業界に参入するには、情報力が不可欠。フランチャイズという選択肢もありますが、立地によっては、ブランド力が有効に活用しないこともあります。フランチャイズに加盟するかしないかも含めて、外部の力を有効利用することが、飲食業界での成功のポイントです。