現在「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」によって定められた障がい者雇用率は1.8%(常用労働者数56人以上の一般の民間企業の場合)です。更に、常用労働者数201人以上の企業が法定雇用率未達成の場合、「納付金制度」といって、不足人数1人に対し、月額5万円(一部減額特例あり)の障害者雇用納付金の納付を義務付けられています。
この法定雇用率は、納付金制度やユニクロなどの大手企業の積極的な障がい者雇用により、1.68%(22年6月時点)まで雇用率が高まっています。
しかし、47%の企業は未達成であり、その殆どは健常者と障がい者が同じ環境下で仕事をすることに対して不安を抱いています。
そこで多くの企業が特例子会社を設立し、障がい者と健常者を別々の環境で仕事をしています。
特例子会社とは「障がい者の雇用のために、特別の配慮をしている(その他用件あり)と公共職業安定所長から認定を受けた子会社」のことであり、そこで働く障がい者は親会社の雇用率に計算することが出来ます。
障がい者を雇用する際、必ずしも特例子会社を設立する必要はありませんが、設立すると次のようなメリットが生じます。
などです。では、障がい者雇用と新規事業をどのように結びつければよいのでしょうか。
障がい者雇用と連動した新規事業の1つに、アウトソーシングしている事業を内製化するという方法があります。例えば、自社の名刺やパンフレットなどを作成する印刷事業や、お客様からのアンケート結果などを収集するデータ入力作業などです。
データ入力なら、初期投資額はさほど大きくなりませんが、印刷事業で気になるのは初期投資額が大きいことです。しかし、補助金や助成金を利用すれば、小額で設備を導入できます。また、設備の導入により、障がい者の生産能力もカバーすることが可能となります。
障がい者雇用による新規事業は、コスト削減や納付金対策ではなく、やり方によっては売上の更なる拡大が可能な事業となります。
当コラムとお読みになり、ご相談があるという企業様はいつでもお問い合せください。
(2010年11月執筆 月刊誌59号より)